2010/10/26 [Tue]
■ 敷金返還請求してみよう
賃貸住宅から退去すると、大家からクリーニングなどの請求がなんぼか来て、敷金から充当される。そして、残金が返ってくる。その請求が、あほみたいに高かったらこうしましょう、というお話。請求額は、部屋の大きさや使い方、住んでいた期間によるので、一概にはいえないが、10万を超えたらちょっと高い。
実際の請求はすべて弟が行ったので、おおざっぱな経緯だけ。実際には話し合いなど、もっと色々な手間と時間がかかっているはず。
前回記事も参照のこと。
内装業者から見積(5月)
部屋は50㎡くらいの3DK。僕と弟で7年間居住。2010年5月退去。弟の部屋のみ喫煙。
大家分
クロス張替 @1100x110(全体187)
畳表替 @5500x6(全体18)
襖張替 @5500x6(全体9)
鍵交換 @7900x1
床交換 @2400x17(台所のビニール床)
天井塗装 @3000x19
税込合計金額 307,335
こちら分
クロス張替 @1100x77(全体187)
畳表替 @5500x12(全体18)
襖張替 @5500x3(全体9)
襖取っ手(破損) @1800x1
室内クリーニング 35,000
税込合計金額 214,200
収めている敷金が186,000なので、全額ぼっしゅーとのうえに、いくらか払わなければいけない。ものすごく都合のいい金額に見える。
単価はよくわからないが、こんなもんかなあ、という気はする。総量がなんともいえない。こんなフル交換する必要があるのかという話。これだけ全部代えたら、もうリフォームだろう。
返還請求開始(6月)
金額に納得いかないので、まずは内容証明を送りつける。「修繕費は7年間の家賃に含まれる」「7年住めば内装の残存価値はない」「よって、敷金全部返せ」という内容。国のガイドラインにもそう書いてある。
契約書に「クリーニングは住人負担」などの特約があると話はややこしくなるが、基本的には上の考え方。うちの契約書がどうなってたのかは知らない。てか見た記憶無い。当然だが、入居前にちゃんと確認すべき。今回は、とくに何も書かれていなかったのだろう。
訴状
返してくれないので訴える。もうなんか、敷金返還用のフォーマットがあるみたい。空欄を埋めて出せばおけ。請求は、敷金186,000(家賃月62,000x3ヶ月分)+過払い家賃55,000、合計241,000。
簡易裁判所に提出。
答弁書(10月9日)
内容は「6月から8月まで入院してましたごめんなさい」「タバコを吸うんだから、相応の支払いをお願いしたい」「総額50万円全部お願いしたわけじゃない。敷金を全部返せというのはおかしい」
もうね、やる気無い。一般的に見たら「長年住んだんだから汚した分を負担しろ」というのは、正しい事を言ってるように聞こえるが、国はそう考えてない。7年も経てば、誰が住んだって劣化する。壁紙やカーペットは年々価値が減り、殆ど無価値になる。住人が価値を100%に戻す義務は無い。
大家側としては、特に汚れている部分や破損部分を写真で押さえておいて、こことここを払え、つって対抗しないといけない。僕は途中で出たので、どこまで掃除したのか知らないが、風呂場や台所は結構良い感じに汚れていた。僕の部屋と物置部屋はほぼ無傷。弟の部屋も喫煙してるわりには普通だと思う。突かれたら痛い部分が見積に入ってないんだから、もう最初から勝負にならない。要するに、適当な見積を出した内装屋に問題がある。
簡易裁判所(10月21日)
許可を貰ったので、以下は弟の書いた記録を転載。一部加筆修正と改変をした。
---以下転載---
補足事項として、敷金返還サポート屋に依頼してて、返還金の20%を成功報酬として契約した。まー、今から考えれば、そいつらはネットで調べれる程度の知識しかなかったけど、経験と安心感を得るって意味では良かったかも。
最初は1から10まですべてをやってくれると思って依頼したんだけど、被告との交渉や、裁判の代理人はできないと。何じゃそりゃ、と思ったが、法律上弁護士的な行動は制限されているので、できないと。
裁判開始
xx簡易裁判所にて14:00開始。サポート屋も傍聴人として裁判に来た。待合室で待っていると、被告の大家(90才)の息子(推定70才)が代理人として登場。
前の裁判が遅れたみたいで、10分ほど遅れて開始。通された部屋には、丸いテーブルと、そこそこのお偉いさんが座るような背もたれ付きの椅子が8個ほど。隅っこに三人がけ程度の平たい長いすがあり、傍聴人はそこに座る。裁判長を除いた、裁判所の書記官(女性)、調停委員(じじい)、被告の代理人(70才)と、俺(原告)+傍聴人(サポート屋)が一旦集合。
裁判長の出現を待っていると、程なく登場。白髪の50くらいの偉そうなじじいだった。一礼して、裁判開始。
まず、簡易裁判はここにあるだけの証拠で判断し一日で判決を言い渡すこと、文句があれば今なら通常の裁判に移行できること、を確認された。
被告は早く終わらせたいとのことで、このまま簡易裁判を続行する意思を表明。
次に、名前と本人確認。相手の代理人は関係を聞かれ、「息子です」。裁判長が、「認めます」。次に、提出した証拠の原本の確認。裁判長に渡したら、その証拠自体がコピーか原本を確認してた。重要なんだろうかねぇ?
質疑応答
証拠内容の質疑応答。まず、俺。いきなりの修羅場が発生した。
証拠として提出した契約書が2枚あることについて質問を受ける。7年住んでいたうちの最初の5年はこういとさんで、2年は弟さんになっているけど、なんで?と。
俺の会社の住宅手当が欲しいから、と正直に答える。すると、裁判長が、
「んー、難しいとこだなぁ。契約したのはこういとさんだから、敷金の返還請求する権利があるのはこういとさんなのね。途中で家の契約を弟さんに変更するときに、敷金の部分も引き継ぐって話した?」
……するわけないっす。
「してないですねぇ」っていったら、「だよねぇ」だと。わかりきってるのに聞いてきやがって。。。むかつく。この話題はここまでで、他の証拠も確認。
あと、「訴状と答弁書は読んだことにするからね」ってはしょられたwwwおひおひwww
和解しないか?
ひととおりの確認が終わったら、調停委員が「和解できないか確認します」とのこと。裁判長、書記官が退出。俺から話を聞くってことなので、被告代理人のおじいちゃんも退出。
んで、この調停委員のじじいがくそだった。
最初に、「いくら返してほしいの?」って言われて、「は?訴状に書いてある241,000円ですけど」と答えたら、「いや、和解ってのはお互い譲歩しないと成立しないからね」だと。
提出証拠の見積もりの項目について検証、っていうか説明。
「あー、襖の取手(1,800円)は認めます。それ以外は認めません。」
「んじゃー、239,200円請求するってこと?」
「ええ、そうですけど。」
「あのねぇ、被告の答弁書に書いてあったとおり、あなたタバコ吸うでしょ?タバコ吸うと、壁紙とか襖とかは住んでる人の負担になる判決がたくさん出てるから。」
ここで、こいつは使えねーな、と思って軽く切れてやった。
「は?国土交通省のガイドライン見たことあります???もっかい見直したほうがいいですよ!!!」
「タバコを吸っても、普通のクリーニングで落ちる範囲であれば、大家負担ですよね?程度の問題じゃないですか?ここにその応分を説明する証拠がないですよね?写真とか。だったらガイドラインに従って7年の経年劣化を考慮して、壁紙と襖の10%は負担しますわ。」
「畳は?」
「畳は、タバコ吸ったこととは関係ないですよね?だから認めません。さらに、室内クリーニングも認めません。」
ってとこで、第1戦終了。なんか、訴状の計算間違いもあって241,000円→215,000円くらいで譲歩。
被告のターン!!俺は外に出て待っていた。結構長くて、15分くらいかかったかなぁ。
そして、俺のターン!
調停委員のじじいが
「壁紙と襖の10%じゃなくて、30%を認めてほしい」
「大体金額で16万くらいの返金」
ときた。
ここで俺は、二つ思った。
ひとつ、壁紙と襖以外の部分は争点ではなくなったっぽいな、16万以上勝ちがほぼ確定か、ということ。ふたつ、30%はミトメネェ。
「あのー30%の根拠ってなんなんですか?」
「根拠なんてないよ!希望、希望!」
「いや、無理っす。妥協して10%なんすわ。」
「和解にすると、金利もつけないし、裁判費用や交通費、日当は各自の負担でってことですよね?判決にして勝ったら、その部分ももらえるわけですよね?だから、和解で30%はむりっすわ。それでだめなら、和解じゃなくて判決を求めます。」
215,000円のまま終了。
被告のターン!!俺は外に出て待っていた。そこそこ早くて、5分くらいかなぁ。
今までは一対一で調停委員と話し合っていたが、今回は一緒に入ってと言われる。
「きり良く、200,000円でどう?」
最終和解案のようだった。15,000円削られたが、判決待ちにすると、初めのほうに聞かれた、『敷金はこういとさんのものだから、敷金返還訴訟はこういとさんが起こさないといけない』っていう判決が出る可能性があると思った。もう一回こういと名義で訴えて、代理人として裁判をすることは可能だと思うけど、、、めんどい。
「200,000円でいいっすよ」
ということで、和解が成立。書類にサインして、振込み先を教えた。
その後、裁判長が来て、
「和解が成立したとのことで。書いてもらった和解の書類は読んだことにするからね。」
そこもはしょるのかwww
裁判終了
そんなかんじで、人生初の裁判はほぼ勝利で終了。お金の面では、裁判費用やらサポート費やらいろいろかかったので、やっぱわかってたけどあんまり意味ないね。
最後に、今回の件で一番むかついた、見積もりと中途半端な交渉をした内装屋について、大家に対して
「あそこ高いですよ。相場の2倍とは言わないですけど、1.5倍はしますね。他の業者に相見積もりとったほうがいいですよ?内装屋さんって身内の方ですか?」
「いや、お客さんだけど、今後は気をつけないかんなぁ」
内装屋を倒すことがいつの頃からこの闘争のメインテーマに摩り替わっていたので、評判を落とすことができて俺は満足だ。
完
---転載おわり---
編集後記
我が弟ながらおもしれーわ笑。おつかれおつかれ。実際に汚したのはほぼ僕だ。申し訳ない。
最初は当然内装屋に文句を言ったんだが、いい加減な対応だったみたい。これまでに退去した家にも同じような見積を出してたようだが、追加で一,二万の負担なら……と払ってしまうのが普通だろう。めんどいしね。
大家としては、最初から7,8万くらいの請求(10まんくらい返還)にしておけば、あっさり事は済んだ。さすがにこれをゼロにしろつって、長い時間をかけて訴訟する奴はあまりいない。今回は大家の都合で半年近くかかったが、通常は数ヶ月で済むはず。
そんなわけで、敷金は(部屋をよっぽど破壊しない限り)返ってくるものです。今後の参考にどうぞ。
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